骨肉腫の治療について①

こんにちは!前回は骨肉腫という病気の概要について説明しましたが、今回は治療についてです。

まず骨肉腫の治療の第1選択は「断脚」になります。つまり腫瘍がある部分の手足を1本丸ごと切除します。

「断脚」と聞くと飼主さん的には「足を切除するなんてかわいそう」「残った足で上手く歩けるのか心配」などといった心配もあり手術に対して抵抗を感じる人も多いと思います。

 

そんな飼主さんの不安・疑問に対して説明させていただきます。

①なぜ断脚が第1選択なの?

骨肉腫は痛みが非常に強い。。

骨を進行的に破壊していくため、他のガンより痛みが非常に強いです。強い痛みが続くことで元気食欲が低下してしまい、徐々に全身状態が悪化してしまうことが多いです。

痛み止めの薬やフェンタニルなどの麻薬性鎮痛剤で対処することもありますが、最終的にはそれらも効かなくなってしまうくらい強い痛みになってしまいます。

この強い痛みを取り除いてあげるには、断脚を行い原因となっている腫瘍ごと足を取りきるのが最も効果的な方法になります。

 

抗がん剤単体での治療はあまり効かない

骨肉腫は抗がん剤単体の治療は効果が低く、痛みをコントロールすることも難しいです。

(※断脚をした後に抗がん剤を実施することに関しては延命効果が認められています)

 

②断脚したことで日常生活を上手くすごせるか心配。。

わんちゃんは人間と違って4足歩行の動物です。

断脚を実施して3本足になった場合でも、残りの足が健康であればほとんどの子たちが1週間程で補助をした状態での歩行が可能になります。さらに1ヶ月もたてば多くの子が補助なしで日常生活に支障なく歩くことができます。

 

③3本足になってしまうと見た目が可哀そう。。

動物の場合は足がなくなった自分の姿を見て悲壮感を感じることはまれです。

人間である飼い主さんからみると可哀そうと感じるかもしれませんが、本人たちにとっては痛みの元がなくなるので「生活の質(QOL)」があがり手術前より活動的になることが多いです。

 

断脚は大きな手術になり、飼い主さんも決断に悩むことがあると思います。手術をするかしないかは飼い主さんの考え方やわんちゃんの状態にもよりますが、積極的な治療をしたい/本人の痛みをとってあげたいと思う場合は有効な治療方法です。

 

獣医師:清水