●皮膚科
当院の皮膚科について
皮膚科は皮膚やアレルギーなどの疾患に対応する科目です。
痒みやフケ、脱毛、べたつく、皮膚の炎症など様々な症状が現れ、症状の度合いも様々です。皮膚自体に問題のある場合や、その他の要因が皮膚に現れてきていることもあるため、全身の状況を見ながら診断を進めていきます。
皮膚科の診断・検査
皮膚病の主な原因には、細菌・カビ・寄生虫などの感染症、生まれつきの体質、アレルギー(ノミや食事など)、免疫異常、ホルモン異常、ストレスなどの精神面、ガン(腫瘍)などがあります。 症状は同じでも原因は様々です。単一の場合もあれば、複数の要因が重なっていることもあります。 これらの原因を探り改善を行うためには、専門的な検査、適切な診断、適切な処置が必要となります。
当院では内科的療法と合わせてトリミング部門と連携した薬浴などのシャンプー療法も行っております。
皮膚科の検査
くし検査
ノミ取りくしで体表をすき、毛や鱗屑(フケ)、ノミの糞・虫体の検出を行う検査です。
押捺検査
スライドやセロハンテープを皮膚に押し付け、染色鏡検し、被毛に寄生する寄生虫の検出(マダニ・シラミなど)を行う検査です。
被毛鏡検
採取した被毛を用いて鏡検し、マラセチア・真菌・細菌の有無と種類などを検査します。
皮膚掻爬検査
皮膚を掻爬し、採取した鱗屑を鏡検して寄生虫・糸状菌の検出を行う検査です。
培養検査
被毛や鱗屑などを採取し、細菌や真菌などを検出する検査です。
一般血液検査及び内分泌検査
皮膚病の原因の特定のために血液検査を行います。
血清特異的IgE抗体検査
アトピー性皮膚炎の原因の特定のために、血清中のアレルゲン特異的IgE抗体を測定する検査です。
代表的な皮膚科の病気
当院で実施している皮膚科診療での対応例の一部をご紹介します。
表在性細胞性毛包炎
(1) 病気の概要及び症状 |
---|
通常痒みをともない、原因菌の違いによって症状が異なることはない。毛包炎は毛包一致性の紅斑性丘疹、あるいは小型の膿疱としてみられる。丘疹、膿疱に近づいて観察すると、毛包一致性の皮疹では、丘疹、膿疱の中心部に毛が観察されることが多い。短毛の犬では脱毛斑が多数認められることもある。 |
(2) 診断のために行う検査 |
・視診 ・皮膚一般検査 |
(3) 治療方法 |
・投薬治療 |
マラセチア皮膚炎
(1) 病気の概要及び症状 |
---|
長時間マラセチアからの抗原刺激によるアレルギー反応が惹起される。これにより痒みをともなう慢性のマラセチア性皮膚炎や外耳炎になると考えられる。マラセチア皮膚炎の好発犬種として、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、コッカー・スパニエル、プードル、ダックスフンド、ボクサー、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、シー・ズー、ジャーマン・シェパード・ドッグが報告されている。犬のマラセチア皮膚炎の好発部位は、外耳、口唇、鼻、肢、指間、首の腹側、内股、会陰部などであり、主な症状としては、紅斑、痒み、色素沈着、脱毛、脂漏、臭気などがみられる。 |
(2) 診断のために行う検査 |
・視診 ・皮膚一般検査 |
(3) 治療方法 |
・投薬治療 ・外用療法(シャンプーなど) |
皮膚糸状菌症
(1) 病気の概要及び症状 |
---|
皮膚および皮膚付属器の角化した組織に侵入・生息する白色・透明な糸状菌である、皮膚糸状菌によって惹起された皮膚疾患である。皮膚の脱毛、紅斑、水疱、落屑などの皮疹を主徴とする。まれに皮下に肉芽腫病変を形成することもある。またヒトにも感染するため、人獣共通感染症としても問題となる。 |
(2) 診断のために行う検査 |
・皮膚一般検査 ・ウッド灯検査 ・培養検査 |
(3) 治療方法 |
・投薬治療 ・毛刈りと洗浄 |
ニキビダニ症
(1) 病気の概要及び症状 |
---|
ニキビダニは多くの哺乳類の毛包内に常在する寄生虫である。犬のニキビダニ症は小動物皮膚科臨床で一般的に認められる疾患であるが、猫においてはきわめてまれである。症状としては、顔や足先の毛が抜ける、皮膚が腫れて出血するといったことが多い。主に免疫力の低下が原因でニキビダニが増殖し、皮膚症状がみられるようになる。症状は、初期に毛孔に一致したブツブツや脱毛、発赤が認められる。ブドウ球菌などの二次感染を伴うと、皮膚の腫れやえぐれ、出血が生じることもある。 |
(2) 診断のために行う検査 |
・皮膚一般検査 |
(3) 治療方法 |
・投薬治療 ・外用療法(シャンプーなど) |
犬アトピー性皮膚炎
(1) 病気の概要及び症状 |
---|
犬アトピー性皮膚炎は遺伝的素因を背景とした慢性瘙痒性皮膚疾患であり、特徴的な臨床症状を呈し、その多くが環境アレルゲンに対するIgE抗体の増加を認めると定義されている。 臨床症状としては、慢性的な瘙痒である。発症年齢は一般に6か月〜3歳頃までであるが、より高年齢の発症報告もある。初発症状は痒みを示唆する掻破行動や舐性行動であり、典型例では二次的な感染症や掻破痕以外に炎症性皮疹を認めないか発赤を呈する。 |
(2) 診断のために行う検査 |
・皮膚一般検査 ・アレルギー検査(血液検査) |
(3) 治療方法 |
・投薬治療 ・食事療法 ・外用療法(シャンプーなど) |
外耳炎
(1) 病気の概要及び症状 |
---|
外耳炎は、鼓膜から外側の耳道に発生する炎症性疾患で、その発生には多くの因子が関与している。外耳炎かどうかは耳周囲の搔痒、耳垢の存在、耳道の炎症性変化を確認することで容易に判断が可能である。 |
(2) 診断のために行う検査 |
・視診 ・耳垢検査 |
(3) 治療方法 |
・耳洗浄 ・外用療法 ・投薬治療 |