犬の高カルシウム血症 ~続編~原発性上皮小体機能亢進症と上皮小体腫瘍

こんにちは!前回の高カルシウム血症のお話から派生して、今回は発性上皮小体機能亢進症について解説させていただきます。

原発性上皮小体機能亢進症とは、喉にある上皮小体という部分から上皮小体ホルモンが過剰に分泌されることで起こります。

上皮小体ホルモンには血液中のカルシウムを上げる作用があるので、この病気になると高カルシウム血症が引き起こされます。

原因としては上皮小体腺腫という良性の腫瘍が最も多いです。その他にも腺癌・過形成なども報告されています。

 

 

原発性上皮小体機能亢進症による高カルシウム血症が見られたワンちゃんのエコー画像です。(白矢印で示している部分が上皮小体)

別件で具合が悪くなったときの血液検査で偶然高カルシウム血症が見つかりました。

上皮小体:右側
上皮小体:左側

この子の場合は左側の上皮小体が右側より大きくなっていました。

原発性上皮小体機能亢進症の根本的治療は外科手術で大きくなっている上皮小体を切除することです。

しかしながら、術後に一時的な低カルシウム血症になることもあり、場合によってはカルシウムの管理が長期に及ぶケースもあります。

高齢・高カルシウム血症がそこまで重度ではなかったこと・無症状・上皮小体の腫大がそこまで顕著ではなかった為、まずはカルシウムを下げるお薬を飲むことによる内科療法を選択しました。

現在、飲み薬のみでカルシウムはほぼ正常範囲に維持ができています。