鼻咽頭狭窄

今回は鼻咽頭狭窄についてお話します。

鼻咽頭とは、鼻の奥の呼吸の通り道です。


鼻咽頭狭窄は、様々な理由により鼻咽頭部内腔が閉塞することでいびきや鼻閉音(ズーズー、グーグー、ブーブー、スピースピーといった音が鼻から鳴る)や逆くしゃみ、開口呼吸などの症状がでます。

一般的に猫の方が多く認められ、原因としてはネコ風邪などの上部気道感染が長期にわたることによる鼻咽頭部内腔組織の瘢痕化や、吐しゃ物の鼻咽頭内への吸引に対する異物反応に由来することが多いとされています。

飼い猫ちゃん(もしくはわんちゃん)が「いびきがひどい」、「風邪は治ったのに鼻から呼吸音が鳴る」、「鼻水はでないのに鼻が詰まってそう」などがあれば、もしかしたら鼻咽頭狭窄かもしれません。

確定診断にはCT検査や内視鏡検査が必要となります。下の画像は正常な猫ちゃんと、鼻咽頭狭窄の猫ちゃんの鼻咽頭部のCT画像です。矢印部分が鼻咽頭部です。

  

   

正常猫の鼻咽頭(CT画像)

鼻咽頭狭窄(CT画像)

 鼻咽頭狭窄(CT画像、ラテラル像)

 

 

鼻咽頭狭窄の治療では、狭窄部を広げる必要があります。当院では内視鏡下において、バルーン拡張術を行っております。

鼻咽頭部にバルーンカテーテルというものを通し、バルーンを膨らませることで鼻咽頭の狭窄部を広げます。下の画像がバルーンで鼻咽頭部の狭窄部を拡張している時のレントゲン画像、処置前後の鼻咽頭部の内視鏡画像です。処置により呼吸の通り道が広がり、呼吸が楽になります。狭窄の程度などにより、このような処置を単回、もしくは複数回行うことがあります。


 

処置中のレントゲン画像

処置前の鼻咽頭部の内視鏡画像

処置直後の鼻咽頭部の内視鏡画像

今回は鼻咽頭狭窄についてお話ししました。上記のような、「いびき」、「呼吸音」、「開口呼吸」などの症状では、鼻咽頭狭窄も疑われますが、鼻腔の腫瘍などの他の呼吸器疾患の可能性もあります。このような症状があれば、早めに動物病院を受診しましょう。