小型犬の橈尺骨骨折

今回は小さいわんちゃんに多い前足の骨折について話したいと思います。
前足の肘~手首までの骨は橈骨と尺骨という2本の骨で成り立っています。

 


この部位の骨折は
まだ骨が成長しきっていない若い子や、骨が細く弱い小型犬の子たちによくみられます。
犬種的には特に
トイプードル(骨の力学構造的に他の犬種より折れやすい)
イタリアングレーハウンド(足が細く長い)
などが多いです。

 

一昔前だと骨折といえば交通事故によるものが圧倒的に多かったのですが、最近では室内飼育が多くなり、しっかりリードをつけて散歩をするのが当たり前になった為減ってきています。
代わりに高い所から落としてしまった・飛び降りた。。。。というシチュエーションが一般的です・・・・・・・が、小型犬の子だと走っただけで・20cmくらいの低い段差から降りたというだけで折れる子もいます。また、飛び降りた場合は基本的には前足から着地するので後ろ足より前足の骨折が圧倒的に多いです。

 

治療の方法はいくつかありますが、わんちゃんの場合は人と違って安静にしてはくれないので、

プレート固定によりしっかりと骨を固定する方法が選択されることが多いです。
当院でも小型犬の橈尺骨骨折に対しては基本的にはこの方法を使って手術・治療しています。

手術においてはその子の骨のサイズ・骨折のタイプにより適切なプレートの形状・スクリュー(プレートを骨に固定するネジ)のサイズを選択することが最も大事なので、手術前にレントゲンやCTの画像をみて綿密に計画します。

 

当院で実施した橈尺骨骨折の手術例を紹介させていただきます。

↓↓

<トイプードル、6カ月齢>

 

<トイプードル、7カ月齢>

 

<イタリアングレーハウンド、11カ月齢>

 

手術した後しばらくは特殊な包帯で腕が動かないように固定し、しばらくはできるだけ安静に過ごしてもらいます。

適切な固定を行えばほとんどのワンちゃんが3-4か月ほどでしっかり骨がくっつきます。
その後に入れたプレートを取るかどうかは状態によりますが、小型犬の子たちは同じ部位が再骨折してしまう危険性もあるのでプレートは入れたままにしておくことが多いです。

近年の小型犬ブームに伴って、骨折で病院に来る子たちが多いように感じています。
骨折しないように予防するのがなによりですので、特に小型犬の子たちは段差の昇り降り・抱っこの時は特に気を付けてあげてください!