健康診断で初めて発見されることが多い病気の一つに、胆嚢(たんのう)の病気が挙げられます。
それは、胆嚢の病気の初期には全くといっていい程症状が出ない事が多いためです。
そもそも胆嚢ってなに・・?と思われる方も少なくないと思います。
そこでまず、胆嚢がどのような働きをしている器官なのかをお話したいと思います。
胆嚢は肝蔵の中にあり、肝蔵で作られる消化液(胆汁)を蓄えておく場所です。
食事をすると、胆嚢から胆汁が十二指腸へ送られ食物の消化を助けます。
胆汁は健康な状態では、さらさらの液体なのですが、これが何らかの原因で変質して結晶化したり(胆石症)、泥状やゼリー状になってしまい(胆泥症、胆嚢粘液嚢腫)、うまく排泄されず貯まってしまう事があります。
ただ胆汁が貯まっているだけであれば症状は殆ど現れませんが、これが原因で重度の胆嚢炎が起きたり、貯まった胆泥や胆石などが胆汁を排泄させる管(胆管)につまってしまうと、胆管閉塞という状態になり吐き気や食欲不振、腹痛などの深刻な症状が出てきます。
(左)胆泥の貯留した胆嚢の超音波所見
一度貯まってしまったドロドロの胆汁は中々きれいになくす事が難しく、症状がなかったり軽度であればそのまま様子をみていくか、利胆剤などの薬を使って貯まった胆汁を排出させやすくしていきます。
しかし、胆管閉塞を起こし重度の症状が出ている場合や、飲み薬を使っても症状がよくならない場合は手術で胆嚢を切除しなくてはなりません。パンパンに詰まった胆嚢を放置しておくと、胆嚢が破裂してしまう危険があり、破裂した胆嚢から胆汁がお腹の中に漏れ出てしまうと重度の腹膜炎を起こし死亡してしまう恐れがあるためです。
胆管閉塞を起こし、パンパンに詰まった
胆管(左)と切除後の胆嚢から出た泥状の胆汁(右)
そうならないためにも、とにかく早期発見、治療が大切です。
当院では健康診断のための血液検査やレントゲン、超音波などの画像検査を行っております。お気軽にご相談ください。