子宮蓄膿症

子宮蓄膿症というと、人ではあまり馴染みがない病気で、「どんな病気?」と思う方も多くいるかもしれませんね。
名前の通り、子宮内に膿がたまってしまう病気なのですが、この病気は実はとても怖い病気です。外陰部から膿が出てきていれば、おかしいな、とわかるのですが、外見上は一見変化が見られないことも多々あります。そうして元気がなくなり、水を飲む量やおしっこの量が増えたり、嘔吐といった症状が出てきたら治療を急がなければなりなせん。もし治療が遅れると、腎臓などの臓器に障害が出たり、子宮が破裂しておなかの中に膿が出てしまったりしてしまいます。こうなってしまうととても大変で、場合によっては亡くなってしまうこともあるのです。

また、この病気の原因はまだ完全には明らかになっていませんが、発情にかかわるホルモンの一つが、この病気の発病の要因となっていることはわかっています。
つまり、このホルモンの分泌を抑えることが、この病気の治療につながります。

この病気の治療法としては、卵巣子宮摘出術(いわゆる避妊手術)という外科的な治療法と、投薬による内科的な治療法がありますが、投薬での治療は子宮蓄膿症の進行具合により適さない場合や、投薬で効果がでても再発の可能性が比較的高く、根治を目指すのであればやはり外科的に卵巣と子宮を摘出してしまうことがよいと思います。

正常な卵巣、子宮  子宮蓄膿症の例(1)  子宮蓄膿症の例(2) 
 P1060737  1288_9537_20120928153434.0  P1070992

また、この病気を予防する方法としても、避妊手術は有効です。
そのため、子宮蓄膿症の予防のためにも、もしも産仔することを考えていないのであれば、一度避妊手術について、お近くの動物病院へ相談してみてください。

下痢

みなさんもおなかをくだしてつらい思いをした経験が一度はあるのではないでしょうか。
同様に、ワンちゃんやネコちゃんにとっても、下痢は嘔吐と並び、とても多い症状の一つで、原因は多岐にわたります。
主な原因としては、寄生虫感染や細菌感染によるものが多く、ほかにもウィルスやアレルギー、異物を食べてしまっても起こります。
また、下痢が長期間続くと、栄養状態の悪化や体重減少脱水と症状が悪化します。
ほかにも腫瘍や内分泌疾患に起因するような、命に関わるような病気もあるので、下痢が続くようならば、一度病院で検査をしてあげてください。

下痢をしていたワンちゃんの糞便に見られた寄生虫の卵
(左側:回虫卵 右側:コクシジウムの虫卵)
P1060540

乳腺腫瘍

当院では、トリミング中に、トリマーさんから「お腹にしこりがあるんですが…」と言われ、検査してみると乳腺腫瘍が見つかることがあります。
乳腺腫瘍とは、その名前の通り乳腺にできる腫瘍で、犬ではそのうちの50%が悪性と言われており、さらに猫では90%が悪性と言われています。この、悪性の乳腺腫瘍のことを、良性の乳腺腫瘍と区別して乳腺がん(ヒトでいう乳がん)と呼びます。

乳腺がんは、近くのリンパ節に転移しやすく、さらにそこから肺や肝臓などに転移してしまうことがよくあり、この結果、色々な症状を示して亡くなってしまうケースもあります。
また、乳腺がんが見つかった場合、治療法は主として乳腺の外科的な摘出になりますが、犬や猫では複数の乳腺があり、たとえがんが小さくても複数あれば、それらをまとめて摘出しなければならないケースもあり、 そして、手術の傷が大きくなればなるほど、ワンちゃんやネコちゃんには負担が大きくなってしまいます。

とても大きな乳腺腫瘍の例(手術前) (手術後)
380_11907_20130628140026.0
380_11908_20130628140022.0
380_11899_20130628160726.0
1524_11923_20130628205452.0 1524_11914_20130628222748.0
小さな乳腺腫瘍が複数見られた例
乳腺腫瘍指でさしている部分にしこりがありました。
この子の場合、一つ一つの腫瘍は小さいのですが、複数あったため、すごく広範囲に腫瘍を取ることになりました。
※○部分にしこり

だから、乳腺腫瘍は早期発見と予防が大切になります。
“予防”、と言いましたが、実は“避妊手術”をすることで、乳腺腫瘍なる確率をグンと下げることができるのです。これはホルモンが関係しているためで、避妊手術を行う時期が早ければ早いほどよく、初めての発情が来る前に避妊手術を行うと、手術を行わなかったときと比べ、乳腺腫瘍になる確率が1/200にまで減少すると言われています。

なので、ワンちゃんやネコちゃんのために、おなかにしこりを見つけたらなるべく早く病院に連れて行ってあげてください。
そして、まだ避妊をしておらず、乳腺腫瘍のリスクを少しでも下げてあげたいと思っているのであれば、なるべく早く避妊手術をしてあげましょう。

尿石症・膀胱炎

最近、トイレにこもる時間が多い割には排尿跡がなかったり色々な場所で点々と排尿をする「頻尿」の症状があったりしませんか?また、尿の色が黄色ではなくピンクや赤っぽかったり、尿が乾くとザラザラしていたりしませんか?もしかしたら「尿石症や膀胱炎」かもしれませんよ。

たとえば、尿pHがアルカリ尿(pH6.5以上)だと、通称ストルバイトと呼ばれる「リン酸アンモニウムマグネシウム結晶(図A、図Bおよび図C)」が多く確認されます。また、尿pHが酸性~中性(pH6.0以下)だと「シュウ酸カルシウム結晶」が多く確認されます。特に、フードのトッピングとしてカツオブシやチーズをもらっている子たちは要注意!このような尿石症や膀胱炎による血尿は、簡単な尿検査でチェックできるので、(おかしいな?)と思ったら検査しましょうちなみに、図Aのように結石にまでなってしまうと、手術での摘出が必要となってしまいます。

図A
図B
  図C

ちなみに、ウサギの場合では、正常な尿にも炭酸カルシウムが多く含まれているので、濁っていたり、赤色尿に見られたりすることがありますが、尿結石が膀胱内で作られていることもあるので(図D)(おかしいな?)と思ったら、まず尿検査をしましょう。対策としては、病院で処方できる、カルシウムを制限し、線維が多く、カロリーが低めのフードがおススメです。

  図D

ただ、特に避妊手術をしていないメスのウサギの場合には、単なる血尿と思って来院されたら、尿石症や膀胱炎でなく、子宮の病気(子宮蓄膿症や腺ガンなど)による出血の場合もあるので、要注意です!単なる血尿だと思わずに、病院で診せてくださいね。

犬の膝蓋骨脱臼

膝蓋骨とはいわゆる「膝のお皿」のことです。
正常な子は、このお皿が滑車の上で滑って膝の曲げ伸ばしをしているのですが、内側または外側にお皿がずれて脱臼をおこしている状態を「膝蓋骨脱臼」といいます。
小型犬では内側に脱臼する「膝蓋骨内方脱臼」大型犬では外側にずれる「膝蓋骨外方脱臼」することが多いです。

 normal  normal pre1  MPL
 膝の正常な位置  正面からの
正常な膝蓋骨の位置
 正面から膝蓋骨が
内側に脱臼している

上の図の『○』は膝のお皿の位置を示しています

この膝蓋骨脱臼の一番の問題点は「痛み」です。
よく来院されている方は「家の中で遊んでいたら≪キャン≫と鳴いたんです・・」「気づいたら後ろ足をあげてケンケンしはじめて・・・」といったことで来られます。

この膝蓋骨、生まれつき外れやすい子や成長期に外れてしまう子がいます。
脱臼の程度はさまざまあるのですが、脱臼しても自然に元の位置に戻る子や、戻らない子、なかには常に膝蓋骨が脱臼したまま生活している子もいます。

膝蓋骨脱臼の場合、内服薬のみ治療するのか、手術して整復するのかをその子の年齢や脱臼の程度により選択しなければなりません。

例えば年齢が若くで脱臼している子は、成長に伴って骨の変形がおこる可能性があります。もちろん骨が変形しても痛みを伴わないケースもあるのですが、自力で膝を伸ばすことができなくなる可能性もあるので手術を検討したほうが良いでしょう。
また、脱臼することで痛みが頻繁にでてくるような子も手術を考慮してあげる必要があります。

手術の方法として、第一に膝蓋骨を収めている滑車溝の溝を深くし、膝蓋骨がはずれないようにする方法があります。またこの他にも関節包を縫い縮めたり、緊張した筋肉を切開するなど膝蓋骨が溝から落ちないような手技を組み合わせておこないます。

pre 1 2

正常な子では、この溝の上に膝蓋骨がのっています。

手術ではこの溝を削って深くし、膝蓋骨をはずれにくくします。

手術後の様子です。

このような膝蓋骨脱臼の危険を避けるためにも普段から、膝になるべく負担にならないような生活環境を整えてあげるといいでしょう。たとえば、部屋の床のフローリング部分は滑りやすいので、フロアマットをひいてあげると膝の負担は軽減できます。

普段の生活の中で「歩き方がおかしい」「急に≪キャン≫と鳴いた」などあれば早めにご相談いただければと思います。

犬の心臓病

狂犬病や混合ワクチンの為に来院されたわんちゃんを聴診した際に、心臓の異常な音に気づき心臓病だとわかることがあります。

飼い主様は突然のことに驚かれるのですが、心臓病の主な症状が「咳をする」「お散歩に行きたがらない」「座り込んでしまう」など、なかなか普段の生活では病気と結びつきにくいので、うちの子がまさか・・・となるのも当然なのです。したがって心臓病は、気づいた時にはかなり進行しているというケースをよく経験します。

犬の心臓病のなかでも特に多いのが「僧房弁閉鎖不全症」という病気です。
この病気は心臓の左心房と左心室の間にある僧房弁という弁がうまく閉まらず、弁の隙間から血液が流れ出してしまいます。そうなると本来、左心房→左心室という血液の流れの一部が、左心室→左心房に逆流してしまいます。それが原因で全身にむかう血液の量が減るため、血液をおくりだそうと心臓が頑張って働き、さらに悪化の一途をたどることになります。
最悪の場合、肺に水がたまってしまい呼吸困難で死亡してしまいます。

正常な犬 心臓の悪い犬
Image02 Image05
心臓の部屋(左心室、左心房)
の大きさは正常です。
心臓の部屋(左心房)
の大きさが大きくなっています。
Image03 Image04
心臓の血液の流れが正常なので
青色と赤色に分かれています。
心臓の血液が逆流しているので
モザイクのような色になっています。
キャプチャ キャプチャ2
心臓の大きさはこのくらいが正常です。 心臓が大きいことがわかります。

治療としては、心臓の負担をなるべく少なくして、心臓の悪化を予防してあげるお薬を飲むことが第一の治療になります。したがって心臓病は早期発見し、その後の経過をしっかりとみてあげる必要があります。

特にキャバリアやポメラニアン、マルチーズなどの小型犬種では多い病気です。
当病院では、健康診断の一環としての心臓の検査もおこなっておりますのでお気軽にご相談ください。

ウサギの歯の病気

ウサギはヒトと違い、歯が一生伸び続ける動物です。

通常ウサギは草食動物ですので、牧草を食べるときに歯がすり減ってくれるので特に問題にはなりません。
ですが、牧草の少ない食事(ペレット主体の食事など)を続けていたり、ケージをかんでいたずらしたりすることで歯並びが悪くなり、歯がうまく削れずに伸び続けてしまうことがあります。この状態を、「不正咬合」といいます。

不正咬合になると伸びた歯が頬や舌にあたって痛みがでてきてしまい、食欲がなくなったり、よだれが多くなったりといった症状がでてきます。

このウサギの歯の病気の一番の問題点は、食欲がなくなることです。
草食動物は常にごはんを食べていないと、生命を維持することができません。
ですので伸びてしまった歯を切ってあげて、歯が口のなかで当たらないように処置してあげる必要があります。

ただ、一度歯並びが悪くなると、再び歯が伸びて口の中にあたってしまい痛みが出てしまう子が多いです。そうすると、歯が伸びるたびに麻酔をかけて、歯の処置を繰り返さなくてはなりません。

歯の健康を維持するために、食事を牧草中心の生活に変えたり、かめないケージにしてあげるなど日常で気を付けてあげられるところは気にしてあげましょう。

 

usagi ha2
下のすごく歯が尖ってます。
うさぎ は2
この子は上の歯がすごく尖ってますね。
プレゼンテーション2
手術前の写真。
痛そう…
歯 オペ後2
手術後の写真。
歯がきれいになりました!

膵炎

最近、人でも話題の膵炎ですが、実はわんちゃんやねこちゃんでもある病気です。
主な症状としては、吐く、おなかが痛い、熱がある、などが挙げられます。

では、原因はなんなのでしょうか?
まだはっきりとしていないことも多いのですが、よく言われているのが、脂肪分をたくさん含んだ食事や、肥満、ストレスなどが膵炎を引き起こす要因になっている可能性があると言われています。

膵炎は、ひどくなると死に至ることもありえる病気です。

また治療するにあたり、数日間、水もごはんも一切あげることはできなくなります。

食べれないというのはやはりかわいそうなことですよね。
ですから、膵炎にならないよう、ごはんやおやつをたくさんあげたり、人の食べ物を与えたりするのは避け、その子に合ったごはんをあげるようにしましょう。
もしも、うちの子はごはんの量や種類が適切かどうか不安がある場合は、一度お近くの動物病院で相談してみてください。

嘔吐

「吐く」という症状で来院する患者さんは、非常に多くみられます。
しかし、「吐く」という症状は、よく見られるからと言って、決して軽視できる症状ではありません。
嘔吐を何度も繰り返していると、水分を出してしまって脱水を起こしたり、吐いた物が気管や肺に入ってしまい、肺炎になったり、ひどいときには呼吸困難になってしまう恐れもあります。

また、「吐く」というと、胃腸炎や、誤食によって胃や腸が詰まってしまう、というような原因がすぐに浮かんでくるのではないかと思いますが、実は色々な原因があるのです。
たとえば、膵炎や子宮蓄膿症、ホルモンの病気、中毒や脳の病気など、本当に様々な原因が考えられます。

そして、もちろんその原因によって治療の方法が変わってきます。

なので、もしもみなさんのわんちゃんやねこちゃんが何度も吐くことを繰り返すようならば、できるかぎり早く、一度動物病院へ連れて行ってあげてください。

皮膚糸状菌症

梅雨から夏にかけて、動物病院では皮膚の病気で来院される動物がとても増えます。
今回は、皮膚の病気の中でも「皮膚糸状菌症」という病気についてお話します。

病名でみると、どんな病気?と思われる方も多いかと思いますが、 簡単に説明するとカビの仲間が悪さをして、脱毛したり皮膚がカサカサしたり、 中には皮膚が赤くなったり痒くなったり、といった症状がでる病気です。

本院にも、この皮膚糸状菌にかかってしまったネコちゃんが来院されました。

おでこ、耳の周り、しっぽがはげてしまっています。 1496_11580_20130522095038.01496_11576_20130522095056.0
このカビは、特殊なライトで光ったり、培地で発育させると培地の色が赤く変化したりすることで、診断できます。 P1050805
(左)皮膚糸状菌陽性

検査で、皮膚糸状菌症との診断がついたので、投薬にて治療を始めました。

投薬1か月後。とてもキレイに治りました。P1060090

またこの病気の大変なことは、犬猫のみでなく人にもうつってしまう皮膚病だということです。(ウサギやハムスターのようなげっ歯類にも感染します。)

お家の動物の子の皮膚をみて、毛が抜けてる?痒そうにしてる?など気になる様子があれば、一度病院に連れていってあげてください。