糖尿病

犬の糖尿病は、ほとんどがインスリン依存型糖尿病(1型糖尿病)です。“インスリン依存型”とは、インスリンを分泌している膵臓のβ細胞が、何らかの原因により破壊され、正常にインスリンの分泌ができなくなり、その結果、高血糖状態が持続してしまうケースです。

原因は遺伝的素因や自己免疫性、肥満や膵炎などが考えられていますが、未だ正確な原因はわかっていません。

糖尿病の症状は、多飲多尿多食というのが一般的ですが、長期間高血糖状態が続くと、ケトン体という毒素が体内で作られ、吐き気や元気がなくなるといった症状が出てきます。また、糖尿病の合併症として、白内障も挙げられます。

治療としては、なによりも血糖値を下げてあげることです。血糖値を下げてあげるためには、自分でインスリンを分泌することができなくなっているため、人工のインスリン製剤の投与が必要になります。当院では、インスリンの注射と食事療法によって治療を行っています。

 

猫の糖尿病では、6~7割がインスリン非依存型糖尿病(2型糖尿病)です。これは、膵臓β細胞からインスリンは分泌されているにもかかわらず、何らかの原因により、インスリンが効きづらくなる結果引き起こされます。その要因としては、肥満やホルモンの疾患、薬剤の作用など様々です。症状は、犬と同様ですが、猫の場合、かかとを地面につけながら歩く蹠行姿勢(かかと歩き)という症状が出ることがあります。

治療も犬と同様ですが、猫の場合、インスリンが効きにくくなっている原因を取り除くことにより、インスリンの注射が必要なくなるケースもあります。

さて、ここまで犬と猫の糖尿病について、少し難しい話をしましたが、大事なのは、糖尿病にならないように少しでもリスクを減らしてあげることです。

お気づきになられたかもしれませんが、犬も猫も、“肥満”が原因の一つになっています。肥満は、インスリンの効きを悪くさせてしまい、実際、糖尿病になってしまった犬や猫の多くが、肥満傾向にあります。

体重管理はとても大切なことです。体重が気になる子がいるようでしたら、これを機に、一度動物病院のスタッフへ相談してみてはいかがでしょうか。